ある偉い人が「誰もが芸術を理解しようとする。ならば、なぜ鳥の声を理解しようとはしないのか」と言った。
一方、森長可は他人が言うことを理解する前にそいつを斬った。
さて、入門編の内容の理解が進めば、ある程度のものは作れるようになったはずだ。
紹介した2つの基礎があるだけでアイテムアートは作れる。
そうして経験を積むうちに、より良いものを作りたいと願うようになってくる。
アーティストたるもの、そうであろうと思う。そうであって欲しい。
そこで、ここでは上級向けのテクニックを紹介しようと思う。
これをマスターすれば、ぐんと幅を広げることが出来る。
まさに魔法のようなテクニックなのだ。
いわゆる「重ね置き」である。
まず始めに紹介するのは同種アイテムの重ね置きだ。
オプションの「影の半透明」をONにした時にのみ使えるテクニックである。
右図のように同じアイテムを複数重ねて影の濃さを変える。
上から1つのみ、2つ、3つ重ねている。
4つ以上重ねても3つ重ねた影とほぼ変わらず、3段階のグラデーションとなる。
ただ、このテクニックはあまり使われることはない。
基本的にアイテムで埋めるタイプのアイテムアートであれば影は見えないためだ。
知識としてあれば、活用の場もあるかもしれない程度で良い。
本題となるのはこちらの「重ね置き」である。
たとえば、右図のように「のどアメ」によって黒く塗りつぶした部分があるとしよう。
ここに、白くハイライトを入れたいと考えたとする。
いかにするか。
1つ「のどアメ」を除去して、そこに「風のキャンディ」を置いたのが右図である。
もちろん、目的によってはこれで良い場合はそれでいい。
ここで「少し白が強すぎるなあ」と感じた場合はどうすれば良いのか。
単純に「ホワイトベリー」などのサイズの小さな白を置くのも1つの手だろう。
ただ、それでは下の地面の色が見えたりと、なかなかうまくいかないものだ。
そういった時に便利なのが「異種重ね」となる。
右図を見ていただこう。
先ほどと比べて白の入り方が変わっている上に、地面の色も見えていない。
これは、「のどアメ」を除去せず、白くしたい場所の1つ下の「のどアメ」に「解毒剤」を投げて重ねたものである。
同座標の「のどアメ」の下に「解毒剤」が入り込み、かつ「解毒剤」の上部が上にはみ出した状態だ。
ここで大きなポイントは「後から重ねたアイテムが下に重なる」という点である。
この「異種重ね」の秘める可能性は計り知れない。
「解毒剤」以外の、例えば「洞窟ダックの羽」などの別の白いアイテムを投げ込めば、はみ出し具合も変わる。
何と何を重ねるか、形の差異、色の差異と、無限の広がりを見せるのだ。